2005年08月17日

日本×イラン


 加地は運がいいね。
 点を取ったところ以外はまるでダメだった。89分間消えていた。
 しかし、点を取ったことで一定の評価を受けるだろう。まだまだ彼がレギュラーポジションを務める目算が高い。日本代表にとっては大きなマイナスだが、それも仕方ない。
 もちろん、点を取った場面であのポジションにきちんとつめていたことは評価に値するが。

 韓国戦後の感想で、玉田のプレーはそれほど悪くなかったと書いたが、そのことがこの試合で証明されたことはうれしく思う。今回は大黒の状態がよく、玉田も活きた形だ。
 玉田は点取り屋タイプではなく、チャンスメーカーとしての比重のほうがいくらか大きい。久保が昨年の欧州遠征+インド戦でゴールを量産できたのも玉田の貢献が大きかった。だからそのとき彼が久保の5得点に比べて1得点しかできなかったことも、それほど大きな問題ではないと私は捉えていた。
 1点目のシーンは理想的な得点だ。
 左サイドに流れた玉田がライン際からクロスを上げ、中央から大黒がつめる。さらに逆サイドにべつの選手(加地)もつめて得点する。パーフェクトだ。
 これで玉田自身が得点できれば、彼にとっても最良の結果だったろうが、そうもいかなかった。決定機は何度となく作った。ただ、ゴール前での落ち着きは現状では大黒に比べれば劣るし、なにより相手キーパーの出来が非常に良かった。これが韓国キーパーだったなら2、3点取っていてもおかしくなかったと思う。

 ずっと批判の的とされてきたアレックスもよい出来だった。
 私は以前、批判に晒されつづけるアレックスを擁護したことがあった。
 なぜか。
 それはアレックスがまったく力のない選手というわけではないからだ。事実、代表で彼は多くのアシストを決めている。
 村井や相馬とアレックス。
 両者に明確な差はあるだろうか?
 たとえば、久保と鈴木、中田英寿と中田浩二、中澤と宮本ほどの決定的な力の差はない。
 左サイドのポジションを得意とする選手の中でとくにアレックスが劣っているわけではない。
 村井や相馬に代わったからといってチームが劇的に変化することはありえません。変えることができるのは、抽んでた個人能力を有している選手だけだ。つまり世界レベルの選手ということ。もしそういう選手であるなら、アレックスを代えろという意見に賛成できることでしょう。

 かたや右サイド。加地と田中隼磨とでは、ウイングバックというポジションに関しては、決定的な力の差がある。
 加地の武器は運動量しかない。ドリブルで抜く技術もスピードもクロス精度も、おまけに守備力すらもない。守備力と運動量は同等で攻撃力は格段に高い田中隼磨のほうが代表にふさわしいのは当然のことだろう。
 アレックスと村井以上に、加地と隼磨の力のほうが両者の能力差が大きい。また、アレックスと比べても、守備力はともかくクロス精度やスペースへの動き出しなどの攻撃面ははるかに加地のほうが劣る。実績の面でも加地が結果を残せたのはコンフェデのみであり、最近は低調であってもこれまでコンスタントに結果を残してきたアレックスには及ばない。
 ちなみに今回のスタメンで、代表レベルにない選手、つまり同じポジションにより有能な選手がいるのは、加地、宮本、田中誠の3人だけです。この3人を早々に切ったほうがW杯本大会で良い成績が上げられると思われます。

 予選1位か2位かはまったく意味を成さない。重要なのはW杯本大会で良い成績を上げることであって、そのための試合ができたかどうかがポイントだった。
 イランのモチベーションが低かったとはいえ、ここ数試合の中ではいちばんの出来であり、とくに前半の攻撃は迫力があった。その点は評価できる。
 ただ、左サイド偏重の攻撃はあいかわらず。右サイドの強化が改めて浮き彫りになった形だ。
 ジーコの采配、選手交代の遅さもまたあいかわらずで、やはりこれでは本大会は勝ち抜けない。
 それから、小笠原、福西の動きは満足のできないものだった。彼らならもっとできるはず。期待しているからこその叱咤。

 ひさしぶりに点数をつけてみます。

  大黒 6.5
  玉田 7
  小笠原 6
  福西 5.5
  遠藤 6
  三都主 7
  加地 5
  中澤 6.5
  田中 6
  宮本 5.5
  川口 6

  今野 ―
  阿部 ―

  ジーコ 5

 私は、点を取ったとしてもその試合全体のプレー内容で選手を判断、評価するので、加地は5。大黒と玉田では点を取らなかった玉田のほうの点数を高くした。
 PKを与えた中澤の点が高いのを疑問に思う人がいるかもしれないが、あの場面はダエイにいいボールが入りすぎた。中澤といえども分が悪かった。
 試合後、宮本が「ダエイと中澤を少し孤立させてしまった。もう少しサポートできればよかった。ポジションを修正する必要がある」と言っていた。そ、アンタだよ、アンタ!

 マン・オブ・ザ・マッチは、玉田。
 おそらくサッカー誌では大黒がマン・オブ・ザ・マッチに選ばれるだろう。


  日本  2−1  イラン

posted by rino at 23:36| Comment(5) | TrackBack(15) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ。
記事全編に渡って、大変おもしろく拝見させて頂きました。「加地は89分間消えていた」、「玉田はチャンスメーカー」、三都主擁護論、どれもこれも非常に説得力があって、なるほどー、と感動しました!
ひとつだけ。私は、三都主の守備の際の集中の持続のなさが、いつも気になっているんです。今日は集中してました。ほかの選手と比べたわけではないですが、どうなんでしょうか?
Posted by yuta at 2005年08月18日 00:46
TBありがとうございました。
前半をほとんど見れなかったのですが、玉田、大黒も結構良かったようですね。
玉田にも大黒にも、代表に選ばれた頃のような、ハツラツとして貪欲なプレーを見せ続けて欲しいです。
Posted by chantona at 2005年08月18日 20:39

yutaさん

アレックスはもともと守備の下手な選手なので、そこは目をつぶるしかないですね(笑)。
これは以前にも書いたことなのですが、私個人としてはアレックスを使うならウイングバックではなく、守備の負担の少ない場所、たとえば、4−2−3−1の左攻撃的MFや3トップの左ウイングなどで使うべきだと思っています。
前の位置であれば仕掛けてボールをとられたとしても全体の守備に影響はないですしね。
ウイングバックは常に相手に背後のスペースを与えているため、守備の意識を高く持たなければなりません。攻撃に比重を置いてますが、ある程度の守備力も必要なポジションです。
そういう理由で石川直宏もまたウイングバックには不適格だと思っています。
アレックスに比べれば村井や三浦淳のほうが守備の面ではいくらか分があるでしょう。ただ、両者とも飛び抜けて1対1が強い、守備が巧いとはいえません。また、世間は得点力不足云々を声高に叫ぶわけで、つまり攻撃に期待している。そういう意味ではやはりドングリの背比べです。
それから、これは意外かもしれませんが、アレックスの攻撃力、シュート精度はなかなか侮れませんよ。
この試合でも枠内隅へのミドルシュートを放ちましたし、先の北朝鮮戦でも惜しいシュートがありました。またイラク戦でしたか、久保とのワンツーで得点しています。
一度守備から開放してあげて自由に攻撃させてやるというのもありだと思います。4バックにしたときの中盤はパサータイプばかりなので、アレックスのような使われるのが得意なタイプを入れることで、ひとつの攻撃のオプションとなりうる可能性もあります。
攻撃に専念させてあげてもダメな場合は今度こそ必要ないですけどね(笑)。

chantonaさん

フォワードは水物ですからね。一喜一憂しないことが肝心です。田中達也にしても今たまたま調子がいいために、あれだけのプレーができたという見方もできると思います。
Posted by rino at 2005年08月19日 00:26
なるほど、ありがとうございました。
4−2−3−1の左サイドハーフ、ということになると、ルマンの松井も急成長中ですよ!なんにせよ、競争が激しくなるのは楽しみです。ジーコが使ってくれれば!(笑)
Posted by yuta at 2005年08月19日 15:02

松井はいいですね。伸びシロは中村以上ですからこれから期待できます。
ちゃんと試合を見てないのでよくわかりませんが、ル・マンではどうやらウイング的な使われ方をされているようですね。
個人的にはバルサでのロナウジーニョ的な使い方のほうがより彼の特長が活かせる気がします。そういう意味での左OMF、レアル・マドリーでいうところのジダンのポジションは任せられます。となると必然的に中村俊輔はスタメンから外します、私が監督だったらですけど……。
Posted by rino at 2005年08月21日 02:49
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